トイレで祈りを

トイレで祈りを

座って小用を足す男になるのか日経ネットより)


自宅で小用を足す時、私は便座に座ってする。

と全世界にネットを使って発信するのもなんだが、事実である。
「である」、と言われても困ると別のサイトに飛ぼうとしているそこのあなた、クリックする手をちょっと休めて聞いてほしい。

女性のパワーに押されて少々萎縮気味の世の男性にとって、もはや唯一、男性であることを誇示できる行動と言えば、言わずもがな「立ちション」だ。その特権でさえ家庭内で放棄してしまった軟弱な私が言うのも変ではあるが、あれはやっぱり男らしい。パンと胸を張り腰を力強く反らす。視線は遠く先を見つめて、片腕をその腰にでも当てていれば、漢の風情に酔いしれそうだ。

しかし、その漢をも震撼させる事態がこの日本で発生している。少々古いネタでご存知の方もおられると思うが、トイレ清潔グッズ「天使のひざ枕」である。元来ひざ枕というものは、女性のひざの上に頭を乗せ寝そべるというなんとも男冥利に尽きる心地よいものであった。しかしこの「天使のひざ枕」はその柔らかいネーミングに反して、世の男性に他にない屈辱感を与えるものとなった。

理論はこうだ。便器までの距離が遠い男性の小便の飛び跳ね率が女性のそれに比べ格段に大きいため便座周辺を汚してしまう。誰が取ったか知らないが、男性は1日におよそ2300滴も便座周辺に飛び散らせているというデータもある。ならば男性がより便器に近づけば問題は解決するという流体力学を応用した商品。流体力学はいざ知らず、世の中は男性に一役買ってくれというわけだが「天使のひざ枕」を開発したチームは人間精神学を無視してしまった。なぜならば、人間精神学もいざ知らず、この商品を使用するにあたって男性は便器の前で跪かなければならないのだ。

便器の前で跪いて小便とはどういうことだ。

今までにない革新的な「第3のスタイル」で用を足せることには間違いないが、人智も「天使のひざ枕」にまで及ぶとは誰が想像しただろう。創造力の産物と呼ぶにはあまりに体裁が悪すぎる。もし人に見られたところを想像してごらん。

国境を越えそうなくらい恥ずかしいぞ。

宗教にのめり込んじゃうぞ。

振り仰いでもそこに青い空などないんだぞ。

君は単なる夢想家だ。

君は君一人なんだから、君の仲間になんてならないぞ。

この世界は決して一つじゃないんだぞ。

と、まさにジョンレノンでなくともこればかりは断じて許さないだろう。

よりによってトイレで何かを祈っているようにも見えるし、これはもう神に対しても、祈りを捧げる者に対しても冒涜に値する。もはや天使どころか悪魔でしかない。こんなモノを好んで使用する悪魔に魂を売ったような奴は、悪魔のひざ枕に跪いて、小便のとばっちりでも浴びればいい。ズボンのチャックに皮挟んで激痛に身をよじればいい。はっはっはっはっ、もうこの際、お前を蝋人形にしてやろうか。さもなくば便座にでもしてやろうか。

ってことで、二度言うのもなんですが、私は座り派です。



ちなみにオープン記念特別価格 1組 16,800円です。
命中率に自信のない方は是非お試しください。


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