人は見た目が20割

人は見た目が20割



年齢や性別を認識する日本の広告ディスプレー:タバコ自販機もWIRED VISIONより)

広告とは元来様々なメディアを使ってより多くの人に、より簡潔に宣伝するものである。TVのコマーシャルしかり、新聞の折り込みしかり、電車内の中吊りだってそうだ。不特定多数の人の目についてなんぼの世界だった。しかしながら最近の傾向としてネットでのコンテンツターゲット広告や行動ターゲティング広告のように「ターゲットを絞った」広告が台頭してきている。

ネットの普及により産み出されたといっても過言ではないこの手法はその対象が大衆ではなく消費者個人に向けられている点でメッセージは限りなく的確なものと成り得る。様々な年代に対して、様々な嗜好や興味に対して、あるいは様々なライフスタイルに対していろいろな形で情報を発信するという確実性がこれからの広告のあり方の主流になってくるだろう。

しかし過ぎたるは及ばざるがごとし、今回NECが発表した広告ディスプレイはいかがなものか。というのもこのディスプレイ、近づいてきた人物を小型カメラでスキャンし、その顔から性別や年齢を推定してその人物に見合った広告をディスプレイに表示するというものだ。

例えば二十歳前後の女性が通過する時にはファッションの広告だったり、コスメの広告だったり、はたまたお洒落なカフェの広告だったりするわけだ。これが働き盛りの30-40代の男性が通り過ぎようとした時には、生命保険の広告だとかハウスメーカーの住宅情報、あるいは証券会社の資産運用の広告かもしれない。ここまで書いたら書くしかないけど、90代のおじいちゃんおばあちゃん通過ともなれば高性能な小型カメラによる性別の判定を待たずにまずは葬祭場のコマーシャルが流れ始めるだろう。墓石専門の石材店や霊園は言うに及ばず、もしかしたら最期に後光をディスプレイが照射してくれるかもしれない。

自分の年齢や性別と合致した広告を表示してくれればターゲティングの効果は絶大であるが、問題は外した場合である。いくら電子立国日本の高性能人物識別カメラが優秀だとしても技術的に100%完璧ではないだろう。女子高生が通過する際、そのあまりに垢抜けない容姿に対して農機具の広告が表示されるとか、定年間近のお父さんのスケベそうな鼻の下になぜかワコールの新商品が大写しされたりとか、50の声がそろそろ聞こえそうなオバ様のあまりの厚化粧にFANCLのクレンジングオイルや美容整形外科の広告が表示されたりとか、まさに訴訟問題にもなりかねない。

ターゲットを大衆から個人へと絞る現在のウェブ上での広告形態をリアルな世界に応用するにはクリアしなければならない問題は多い。判断基準が顔だけのNECの広告ディスプレイではまだまだウェブ広告の足下にも及ばない。しかし世の中の流れに抗えない以上、もっと大胆にもっと楽しいものとして進化していって欲しいと思う。

人を見た目で判断するのではなくて。



行動ターゲティング広告
ページビュー神話の終焉



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