何も伝わらなくて・・・春

何も伝わらなくて・・・春

「んだTシャツ」東京進出asahi.comより)


ひと頃に比べ、派手なタイポグラフィで漢字や平仮名をあしらったTシャツは少なくなっているようだが、まだまだネタは無限大だ。「んだ」ときた。秋田と東京の一部だけの販売で、半年間で1000枚を売り上げているという。この数が多いのか少ないのかははっきりとは言えないが、ニュースになるくらいだから、きっと多いのだろう。加えて外国人観光客の需要もばかにならないのではないか。

この方言Tシャツ。言葉の意味が通じにくければ通じにくいほど面白い。とんねるずの「みなさんのおかげでした」の1コーナーで「細かすぎて伝わらないモノマネ選手権」というのがあるが、あの感覚と非常に似ている。内輪ウケとは違う、あくまで不特定多数の人に表現として伝えようとする意思がヒシヒシと伝わってくるところの微妙なパラドクスに現代の人々は歓喜する。

コミュニケーションということを考える時、物事の本質や思考が相手に伝わって当然という考え方は往々にして存在しているが、よくよく考えてみると「伝わらなくて当然」なのかもしれない。身振り手振りから始まった原始時代から連綿とコミュニケーションの方法を発達させてきた人類は言葉を産み出し、それを駆使して繋がってきた。さらに進化した人類はインターネットを世界に張り巡らせてコミュニケーションのそのあり方すらも劇的に変化させた。「伝わらない」というジレンマが世界を変化させたといっても過言ではない。「伝わって当然」という世界があるとすれば、人々はおそらくお互いに関わり合うことをやめるだろう。あなたはわたしでわたしはあなた。味気ない空間に存在するただの有機体。

と思ったわけだが、秋田の人の「んだ」という声は聞こえてこない・・・か。



関連記事

コメントを書く

次のXHTMLタグが使用できます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

トラックバックURL