哀しみのミッドナイト・ポエマー

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「メール送信後に後悔」を未然に防止、Gmailが実験機能MSN産経ニュースより)

GoogleがWebメールサービス「Gmail」の付加機能として「Mail Goggles」というサービスを開始した。この「Mail Goggles」とはメール送信時に本当にその内容で送信していいものかどうかを送信者に再確認させるもので、送信した後に後悔することを防止するものである。

となるとやはりこのサービスが効果を発揮するのはラブレターならぬラブメール送信時ではないだろうか。昔から夜に書いたラブレターは翌朝もう一回読み直して渡せ、という格言めいた言葉があるように夜は人を詩人にしてしまう。ありとあらゆる美辞麗句を捻り出し、書き連ねた文章はそれはそれは恥ずかしいもので、ハーレクインの編集部も頭を抱えるほどの糖質100%の甘ったらしさだったりする。好きな女の子に熱い想いを伝えようと気負えば気負うほど本来の自分からは程遠いメルヘンワールドの住人となってしまっていたりするから始末に負えない。

携帯が普及の兆しを見せ始めた15年ほど前。メール機能の操作も辿々しかった私は当時好きだった女の子にハーレクインの編集部も頭を抱えるほどの内容のメールを送ったことがある。緊張で震える指と酒に酔ってフラつく頭で意を決して送信ボタンを押した。返事がなければどうしようかとあらゆる善後策で不安を打ち消しながら何度も今しがた送ったメールの内容を確認する。酔っていたからいいもののシラフではありえない文章にただ己のことのみを信じて夜の帳に息を潜めて返事を待つ。ウトウトとしかけた頃、静寂を切り裂くように携帯がなった。大好きなNさんからのメールだと思うだけで全身が硬直したが、万が一否定的な返事だった時のことを思うと下半身は萎えた。恐る恐るメールを開く。

「ごめんなさい、私今つき合っている人がいます。相手は女ですけど。N男より」

NさんとN男は一文字違い。アドレス帳からの入力ミスに気付くまでもなく、当時の飲み仲間N男に私は愛を告げていた。

ありがちな例えで申し訳ない。緊張の糸が切れた私はN男に送ったメールをもう一度Nさんに送ったが結果はN男と同じだった。一晩に二人からフラれることは後にも先にもその時だけだった。

と言うようなアドレス入力ミスまで面倒は見てくれない「Mail Goggles」ではあるが、ハーレクインの編集部が頭を抱えるような内容は十分に阻止してくれそうだ。送信前の心理状態や判断力を確かめるために簡単な計算問題が表示され正解しないとメールが送信されないという仕組みで、そのようなメールをつい送ってしまいそうな曜日、時間帯を選ぶこともでき、私のように酒の勢いを借りて迷惑極まりないラブメールを送り付けるような輩には計算問題の難易度を上げることだって可能だという。

いずれにせよ夜の詩人たちの憂鬱はIT技術の力を借りて多少なりとも改善されるのではないだろうか。



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