川本高校の一番長い日
異例 0-66で放棄試合 埼玉県春季大会北部予選(SANSPO.COMより)
春期高校野球埼玉県大会北部地区予選1回戦の進修館高校−川本高校戦で川本高校が66-0と大量リードを許し、試合を二回裏で放棄した。
大量リードにもほどがあるこの点差。当の選手達の落胆ぶりが目に浮かぶ。しかしブログを書いてる私にとっては「感動した!点差に耐えてよくがんばった!ネタをありがとう川本高校!」だ。スポーツの世界でよく言われる言葉に「記録に残るより記憶に残す」というものがあるが、川本高校にしてみれば「記録にも記憶にも残す」というスポーツセオリーの観点から言えばまさに大金星だ。
1回に26点、2回に40点と、どうすればこれだけの点数を失えるのか不思議でならないのだが、先発投手の球数が2回の時点で250球を越えていたというから凄まじい。2試合完投分の球数をたった2回と3分の1で使い果たす川本高校のピッチャーの持久力は並みではない。心配した監督がピッチャーの健康上の理由から試合放棄を決断したという。
しかし250球もの球を投げ続けたピッチャーの精神状態はどのようなものであったのだろうか。肉体的疲労はピークに達し、精神的ダメージは計り知れない。延々とマウンド上で、応援に来ていた生徒たちの視線に晒され続ける苦痛とはいかようなものなのか。中には意中のあの娘もいたかもしれない。近所では仲がよいと評判の姉もポール際の陰で応援していたかもしれない。彼とウリ二つの息子を事故で亡くした叔父さんも遺影を抱いて来ているかもしれない。幼い頃生き別れた双子の弟だってバックネット裏でその姿を見つめているかもしれない。
しかし彼は投げ続けた。誰のためでもない。もうバッターすら彼にとっては問題ではなかったはずだ。何点目が入ったとか何塁打を打たれたとか今が何番バッターだとかは取るに足らない事で、すでに無我の境地に達した彼は御飯を食べるように、トイレで用を足すように、そして呼吸をするように、球を投げ続けたのだ。「生きるとは何ぞや」と問われれば「球を投げることだ」と眼光の輝きもそのままに答えたに違いない。
世紀の大記録に挑んだ結果、その志半ばで指揮官の命令により諦めざるをえなかった彼が一体何失点を目標に掲げていたのかは、今となっては誰の知るところでもなくなった。
春期高校野球埼玉県大会北部地区予選1回戦の進修館高校−川本高校戦で川本高校が66-0と大量リードを許し、試合を二回裏で放棄した。
大量リードにもほどがあるこの点差。当の選手達の落胆ぶりが目に浮かぶ。しかしブログを書いてる私にとっては「感動した!点差に耐えてよくがんばった!ネタをありがとう川本高校!」だ。スポーツの世界でよく言われる言葉に「記録に残るより記憶に残す」というものがあるが、川本高校にしてみれば「記録にも記憶にも残す」というスポーツセオリーの観点から言えばまさに大金星だ。
1回に26点、2回に40点と、どうすればこれだけの点数を失えるのか不思議でならないのだが、先発投手の球数が2回の時点で250球を越えていたというから凄まじい。2試合完投分の球数をたった2回と3分の1で使い果たす川本高校のピッチャーの持久力は並みではない。心配した監督がピッチャーの健康上の理由から試合放棄を決断したという。
しかし250球もの球を投げ続けたピッチャーの精神状態はどのようなものであったのだろうか。肉体的疲労はピークに達し、精神的ダメージは計り知れない。延々とマウンド上で、応援に来ていた生徒たちの視線に晒され続ける苦痛とはいかようなものなのか。中には意中のあの娘もいたかもしれない。近所では仲がよいと評判の姉もポール際の陰で応援していたかもしれない。彼とウリ二つの息子を事故で亡くした叔父さんも遺影を抱いて来ているかもしれない。幼い頃生き別れた双子の弟だってバックネット裏でその姿を見つめているかもしれない。
しかし彼は投げ続けた。誰のためでもない。もうバッターすら彼にとっては問題ではなかったはずだ。何点目が入ったとか何塁打を打たれたとか今が何番バッターだとかは取るに足らない事で、すでに無我の境地に達した彼は御飯を食べるように、トイレで用を足すように、そして呼吸をするように、球を投げ続けたのだ。「生きるとは何ぞや」と問われれば「球を投げることだ」と眼光の輝きもそのままに答えたに違いない。
世紀の大記録に挑んだ結果、その志半ばで指揮官の命令により諦めざるをえなかった彼が一体何失点を目標に掲げていたのかは、今となっては誰の知るところでもなくなった。







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