5500万年の泥酔者たち

5500万年の泥酔者たち



二日酔いの救世主? 「アルコール分3.8%の蜜」だけを食べる、酔わない動物WIRED VISIONより)

「ブルタム」という3.8%ほどのアルコール分をその花の蜜に含んでいる植物だけを食べ、約5500万年もの間生き延びてきた動物がいるという。名前は「ハネオツバイ」。小さなフォントでここを閲覧されている方は「ハネオッパイ」と勘違いなさらぬよう。

このハネオツバイ、マレーシアの熱帯雨林に生息するネズミに似た動物で、その3分の1の個体から、人間で言うと酩酊状態に値する高い血中アルコール濃度が検出されたというから何とも羨ましい。いや、何とも驚いてしまう。おまけに彼らはそのような状態であるにも関わらず酔っぱらっていないというからもはや「酒豪」である。人間の何十分の一の小さな体に対して3.8%のアルコールがどのような作用を及ぼすかは想像に難くないが、他のものは一切食べずにこのブルタムという植物のアルコールだけを摂取して太古の昔から遺伝子を繋いできたというからゲロ吐きそうな事実ではないか。

いくらアルコールが大好きな人でもアルコールだけで生き続けられる人はいない。そのような生き方に限りなく近い人物は過去に私も幾人かは見てきたが、彼らだって酒だけではない。ポテトチップスやスルメ、吉牛にジョイフルだって食べていたし、懐に余裕がある時は居酒屋に赴き、時には一緒に飲んでいたおネエちゃんを食べることだってままあった。彼らが今どこでどうしているのかは知るよしもないが、おそらく5500万年はあの遺伝子を継続させることはできないだろう。自然淘汰の道を自ら歩んでいったと言えば聞こえがいいが、要は自滅である。

遺伝子というものは、生物がその生命を維持するための最良の方法が書き込まれたプログラムである。ハネオツバイの生きてきた環境はジャングルの中であり、もちろん最初からアルコールに強かったわけではなく、進化の過程で繰り返しアップデートを行い、環境に適合しながら「飲酒」という個体存続の最良の方法に辿り着いたのだ。酒で身を滅ぼす人間がいる一方で、上手にお酒と付き合って永劫の時を紡いでいるハネオツバイにはまったく頭が上がらない。

今回のこの発見により、アルコールを分解するメカニズムが新たに解明される可能性が出てきたという。あの生きていることが最も辛い「二日酔い」の治療に何らかの光明が見えてきただけでもハネオツバイの存在意義は大きい。

「ハネオツバイ、よくやった、ありがとう、乾杯!」である。






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