質よりアイデア

貧乏バンド、監視カメラでPV制作
ミュージックエンタテインンメントサイトBARKSより)


まさに発想の勝利だと言える。
イギリスのマンチェスター出身の新人バンドがプロモーション・ビデオを作るお金がないために、マンチェスター市内に設置されている監視カメラを利用してPVを制作したという。

そのバンド『The Get Out Clause』。
何十ヶ所もの監視カメラの前で演奏し、
後で「情報公開の権利」を行使して
映像を返してもらって編集したというから、シビれる。
映像をご覧頂ければお分かりになると思うが
プロモーションビデオとしては、まったくお粗末極まりない。
ハンディカメラでマイホームパパが撮った方が
余程綺麗に撮れるのではないか、というレベルだ。

しかし、話は画質云々ではない。
そもそも監視カメラを利用する時点で画質にこだわるわけがない。
蓋を開けてみれば、どこぞの映像クリエイターにも作り得ない
ロックという音楽が持つリアリティが「映像表現」として
見事に伝わってくるではないか。
ロックはアンダーグラウンドな存在であるべきだと
その昔いつも考えていたことを思い出させてくれる。
監視カメラに映った彼等のプレイシーンは
下手な小細工など一切なく、ただただシンプルな映像で、
ロックの持つ反骨精神というクサい言葉すら凌駕する、
地下から沸き上がるような熱を感じる。
これこそロックPVの本来のあり方だと思う。

何億という金をかけて制作されたPVもあれば
ほとんど金をかけずに作られたThe Get Out ClauseのようなPVもある。
ロック・ミュージックはもちろん自己表現の手段だ。
ギターがうまい、歌がうまい、ルックスがいい等の要素は
このインターネット全盛期においては、二の次になってきている。
もちろんずば抜けた才能というものは黙っていても人に伝わるものである。
それらは一部の人間に任せておくとして、
この飽和した文化的状況の中、ロックのみならず、
想像を超えたアイデアによる表現手法というものが、クオリティの枠すら超えて、
インターネットを介し、ますます顕著なものとなっていくことは明白だ。

既存の文化や価値観を壊すこと。
それは新しいメディアを手に入れた私たちにとっての命題でもある。


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