Fiat500 around the world

Fiat500 around the world

昨年7月のイタリア本国での販売開始より早7ヶ月、ようやく3月15日に日本での販売と相成ったFiat500

チンクエチェントの愛称でイタリアのみならず全世界に親しまれた旧型Fiat500はルパン3世が所有していたことでも有名だが、逃走用車両としてはあまりに陳腐であったのではないだろうか。陳腐なチンク。すみません。

「もっと速いチンクを作ってくれ」とルパンの要請があったかどうだか知らないが、新型はすこぶる快調だと聞く。今回日本に導入されるのは右ハンドルの1.2Lラウンジ、5速デュアロジックで、性能面ではイタリア本国で販売されている1.4Lには劣りはするものの気にする必要はない。日本でチンクに乗る意義は動力面ではなく、やはりその卓越したデザインに尽きるのではないか。どこかの国の車のように4年経てばガラリとデザインを変えてしまうような消費者に無責任なことをやらないのがイタリアだ。いや言い換えれば旧型のデザインがすでに完成されていたとも言える。一回りも二回りも大きくなった車体は、現在の安全基準に適合させるために仕方ないところではあるが、随所に見られる伝統の造形美が懐かしさの中にも革新性を産み、観るものを飽きさせない。

以前、アルファロメオの156に乗っていたことがある。車は動けばそれでいいと思っていた私の心を動かした車だ。車の雑誌でその姿を見て一目惚れした。1年間飲まず食わずで頭金を貯めてようやく手に入れた。それは毎日が楽しかった。人との出会いも少なからずあった。空が青すぎるという理由で通勤経路を逸れて海へ行ったこともある。車を停めた福間海岸がまるでナポリに面する地中海。エスプレッソ、ペペロンチーノ、ジェラート、フェラガモ、ルネッサンスにガリレオ・ガリレイだ。動力性能に特筆すべき点はさほど見当たらない車にも関わらず心躍らせる魅力のある車はそうはないと思う。今回のFiat500もまたその匂いがプンプンするのだが。自動車とはまさに自己満足の世界。知らない人は知らなくていい。しかしその自己満足がほんの少しでも人生を豊かに、生活に潤いと刺激を与えるということを理解できたとするならば、このFiat500は価値ある1台に成りうるのではないだろうか。

さまざまな紆余曲折を経て現代に蘇った、自動車の歴史の必然性から産まれたビートルとミニ。今回のFiat500の登場でようやく役者が揃った感じだが、どの車をとっても甲乙付けがたい魅力でいっぱいだ。それはやはり歴史に裏打ちされた重厚感に他ならないわけではあるが、そんな堅苦しい話は抜きに、街中にカラフルな愛嬌を振りまいてくれる車がまた1台増えたことは素直に喜ばしいことだと思う。

買う買わないは別として、Fiat500に乗ってる人の笑顔がこれからの車社会を牽引していくことは間違いないようだ。


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