赤い概念

赤い概念

イタリア警察、シチリア島で偽物フェラーリを押収ロイターより)


本物があれば偽物もある。これは現在の物や価値観の溢れた世の中では、多少の語弊を含みつつ当然ではある。しかし、今回の「パクリ」はモノがモノだけにとても愉快だ。

犬も知ってるフェラーリを完全コピーしたグループをイタリア警察が摘発したという話だが、世の中には好きな人もいるもので、外観はほぼフェラーリ360。これに乗って街を流せば、間違いなく富裕層と見なされるし、おねーちゃんに声をかければ二百発三百中OKよろしくだ。それでいて本物が約2200万円するところを、驚愕のプライス300万円ちょっとで買えるのであれば、私は間違いなく購入する。

安全性にも欠け、細部が粗末であろうがチープであろうが、見た目フェラーリなら見た目フェラーリが勝ちである。誰もフェラーリのことを知らないことを逆手に取ってやればいい。逆に言えばフェラーリとは見た目のカッコ良さがすべてであって、エンジンがどう、足回りがどうと小難しいことを書き散らす自動車評論家をあざ笑うほどの痛快さがあのボディスタイルにはあるということだ。

しかしコピーといえども、その技術力は並ではない。完全コピーというものは、そのオリジナルを産み出す以上に難しいことなのではないだろうか。ポンティアック、メルセデス・ベンツ、トヨタなどが生産する車の部品をかき集めて制作されたとみられているが、寸分たがわぬ出来映えに地元警察も舌を巻いたというから、容疑者達もさぞや心のうちではほくそ笑んでいたに違いない。

今回の件を摘発するに当たってイタリア警察は、フェラーリのシンボルカラーにちなみ「赤い情熱作戦」とおまぬけなコードを掲げ奔走していたというが、これだけ精巧なコピーを作った容疑者達のフェラーリに対する情熱の火は容易に消すことなど出来ないことはもはや火を見るよりも明らかだ。

きっとフリーク達は偽物でさえ手に入れたいと思っているに違いない。
フェラーリとはもはや真偽を越えた世界の概念なのだ。



※この文章は決して事件の容疑者、及び製品偽造を擁護するものではありません。 [obsqr編集部]



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