オフィス街の悪夢

オフィス街の悪夢



社内の「あの人とあの人が仲がいい」を視覚化——ビジネス顕微鏡ITmedia Biz.IDより)


様々な職場において、まず第一に優先しなければならないことの一つに人間関係がある。いくら仕事ができようともこの人間関係を疎かにすれば、できる仕事もままならない。しかしそこはやはり人間だ。馬が合わない、相性が悪い、どうにもいけ好かない人というものは小さな職場でさえ一人はいるものだ。そういった微々たる感情が毎日続いていけば、おのずと社内での行動パターンも均一化され気がつけば嫌な相手と一日口を聞かなかったということにもなりかねない。会社を円滑に運営するためにも社員同士のギスギスとした空気は不利益であることは明らかで、経営者や管理者にとっても頭が痛いところではないだろうか。

コクヨオフィスシステムがこういった社内での社員同士のコミュニケーションの具合を数値化しグラフに置き換えて視覚化できる「ビジネス顕微鏡」なるもののデモンストレーションを行った。赤外線センサー、3軸の加速度センサー、マイクセンサー、無線通信デバイスなどを搭載した社員証のようなものを首にかけるだけで、社内の各所に設置された専用アンテナが利用者の行動を追ってくれるというシステムだ。誰が誰にどのくらいの頻度で接しているのか、あるいは何課と何課のコミュニケーションの濃度、もしかしたらプロジェクトの進捗状況なども把握できるかもしれない。まさに目に見えない職場の人間関係を微細に知ることのできるツールだと言えよう。

しかし問題はプライバシーだ。個人を特定できないような設定もあるというが、それではこのシステムの旨味は半減してしまう。「誰かと誰かがホニャララで」が最も興味深いことであることは我々人間の業である。サンスクリット語で言うところのカルマンだ。もっと狭義で言えば社内恋愛である。オフィスラブだ。このシステムはオフィスビジネスを活性化させるためのものではなく、オフィスラブ発見装置なのである。「A子とB男が給湯室で急接近、一日5回」「ホモの噂が後を断たないC部長、イケメン新入社員D君と何故かトイレがいつも一緒」「まさかあの清掃おばちゃんが?プロジェクトリーダーEさんの下半身事情」などもうオフィス暴露大会必至だ。

長く働いていると人間関係は徐々に見えてくるものだし、仕事上の質問や相談もおのずと自分自身の負担にならないように繋がっていくものだと思う。自分自身と相性の悪い人、ぶっちゃけ嫌いな人とは敢えて接しないほうが効率的である上、ストレスも軽減されるのではないだろうか。こうやって言葉で簡単に言うことはできるのだが、一筋縄ではいかない問題であるとは十分承知している。

建前だけの社内ではデジタルの力を借りて人間関係を修復していくことが今のところ得策と言うしかないところを見ると何とも寂しいかぎりである。







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