映画『ウォンテッド』寸評

映画『ウォンテッド』寸評

評価が分かれているようだが、私は楽しめた。これでいい。映画は。
ストーリーやディテールの完成度にこだわるよりも、最も見せたい面を極端なまでに強調する方が、
結果的にいちばん効果があると思う。

アンジェリーナ・ジョリーの「役者としての」魅力が最大限に引き出された作品
といえる。女性としての萌えの要素は全く見られないが、とにかくカッコいい。
この人は、やっぱりこういう作品に向いているのだ。見せ方を熟知している。
私は、女性による美しいアクション映画をもっと観たいと切に願う。

弾道を曲げる、という発想が面白い。
障害物の向こうにある標的を射抜く技法。
腕を振り回す動作が、ガン=カタを想起させる。
ガンアクションも確実に、武道への道を進みつつある。
『リベリオン』の蒔いた種が、至る所で芽吹いている。

従来のハリウッド作品と肌合いが微妙に違うのは、監督を始めとするスタッフ
チームが、主にロシア(カザフスタン)出身者で編成されたためだという。
特にその影響が感じられるシーンはない(ウォッカが出てくる場面はある)
のだが、全体に漂う奇妙な終末感というか諦念の匂いは、北方の人々の根底に
静かに流れているのかもしれない。

毎回書いているように、映画業界はすでに第三国からの波が押し寄せている。
ハリウッドはもはやアメリカ文化を象徴するものではない。

こうなると逆に米国人による現代のアメリカそのものを描いた作品を観てみたい
ものだが。
たぶん、いろんな方面から横槍が入ることだろう。
かの国は現状では、こと映画に関しては、自由の国ではない。

この機に乗じて、日本人も存分に食い込んでいってほしい。
日本人のやり方で。
必ずしも恣意的に日本色を出す必要はない。
日本人がやれば、日本の匂いは必ず残る。

まあ、その匂いを消し去るのが巧みなのも日本人の特徴なのだが。



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長澤あかね

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