16年ぶりに爆撃再開

The B-52's

The B-52’s、新作がゴキゲンBARKS NEWSより)

心から大切に思っているバンドやグループはたくさんあるが、
中でもThe B-52’s(ザ・ビーフィフティトゥーズ)は私にとって
かけがえのない存在となっている。

1978年デビュー。パンク/ニューウェイヴの嵐が吹き荒れる中で
現在もなお異彩を放ち続ける男女4人組。グループ名は爆撃機の名称から。
初期の頃は美術学生臭の匂いたつがごとくエキセントリックでチープな
サウンドとキャラクターで一世を風靡していたが、メンバーの死など、
状況の変化にともなってか、実験的路線から徐々に王道ポップフィールドへと
シフトする。

私が初めて耳にしたのは1989年の大ヒットアルバム『Cosmic Thing』。
当時の売れっ子プロデューサーであるナイル・ロジャースとドン・ウォズを
起用し、万華鏡のように華やかでなおかつ強靭なリズムを前面に押し出した
90年代型ポップミュージックを提示してみせ、それまでの「知る人ぞ知る」
存在から一気にメインストリームへと躍り出た。いや、「踊り」出た。

このアルバム、今聴いても鳥肌が立つほど(私にとっては)刺激的で。
ちっとも古さを感じさせない。ポップとして見事に「完成」しているのだ。
奇跡のような絶妙のバランスで、前衛と大衆性が共存している。
収録曲の数々が、当時の私を支え、励ましてくれた。
これとXTCの『Oranges & Lemons』が私にとっての89年であり、
オールタイムズ・ベストの中にも必ず入る作品である。それだけ思い入れが深い。

翌90年夏、The B-52’s来日の報を受け、狂喜した。
当時私は大阪で暮らしており、関西での公演もあるという。
予約を入れ、チケットを受け取りにいそいそとプレイガイドへ足を運んだ。
そこで来日そのものが中止になったことを知り、落胆する。
理由は定かではない。当時は情報も乏しい。ネットはまだ普及していない。
振替公演の話もなく、結局、幻と化してしまった。
公演が予定されていた会場、尼崎アルカイックホールの名前は今でも忘れない。

その後、リミックスアルバムを経て1992年に『Good Stuff』を出す。
基本的に『Cosmic Thing』からの流れを継承するスタイルだったが、前作に
比べると輝きと勢いの衰えを若干感じた。この頃にはメンバーのシンディ・
ウィルソンが表立った活動から身を退き、3人組となっていた。その影響が
現われていたのかもしれない。独特の“化学反応”が少なくなっていた。
1994年には映画『フリントストーン』のテーマ曲を担当したりもするが、
パワーとしては今ひとつ。

ああ彼らもこのまま終わってしまうのだろうか、と醒めた視線を送りつつも。
気持ちのどこかでは振り切ることもできず、活動は時おりチェックしていた。

そしてベスト盤などを挟み、今年。
16年ぶりの新作『Funplex』発表。
我が耳を疑った。まだ新作が出せるだけの底力が残っていたとは。
ジャケット写真にはシンディの姿もあり、4人組に戻っている。
機が熟した、ということか。

ちらっと聴いてみた。
質感は、明らかに前作とは違う。
荒い。
ギターを前面に押し出したワイルドなリフが光っている。
90年代のキラキラポップからは完全に脱却したようだ。
しかし本質はまぎれもなくThe B-52’sのそれだった。
下世話で猥雑でひねくれていてふざけていておちゃらけていて真剣だ。

贅肉を削ぎ落とした分、初期の頃に戻ったかのような印象を受けるが
決して戻ってはいない。ヴァージョンアップしている。
螺旋のごとく、回りながら上昇している。
上昇への浮力は、彼らの経験と自信に基づくものだろうと思う。

私はどうやら、彼らを見くびっていたようだ。
考えていたよりも彼らははるかにしたたかで、柔軟で、プロフェッショナル。
さらなる成長を見せ、古くからのファンを裏切ってみせた。

思いがけず出会った友人が、持ってきた手土産。
これが私に新たなる刺激を与えてくれることは、間違いない。


The B-52’s - Funplex


参考:GAZZER


関連記事

コメントを書く

次のXHTMLタグが使用できます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

トラックバックURL