彼の宝物はハンバーガーショップにある

ドナルド

2億6000万円の宝くじが当たった男性、マクドナルドの仕事が恋しくて復職
らばQより)

これってマクドの宣伝じゃね?などと穿った物の見方をする私はすっかり
世間の埃にまみれて汚れちまった悲しみに。しみじみDrinkingしみじみly。

宝くじ当たったら何買うー?
という取らぬ狸がへそで茶を沸かすほどの不毛な皮算用は今も世界の至る所で
繰り広げられていることと思われるが。
まず仕事を辞める、という意見を持つ人はその大部分を占めるのではないか。
それだけ多くの人々が、現在嫌々ながら仕事をしている。
当面の生活費を稼ぐために仕方なくやっている。
その“しがらみ”から逃れるために、宝くじは格好のきっかけとなり得る、と。

しかしいざ、そのしがらみから逃れることに成功してしまうと。
人々は途方に暮れてしまうものなのかもしれない。
さて、これからどうしよう。
やりたいことを思い切りやるんだ、あれもやりたいこれもやりたい、と
かつて思い描いていた「夢」をすべてやりきってしまった時。
呆然と立ち尽くしてしまうかもしれない。
ああこれで自分の「人生」が終わってしまった、と。
悲観的な考えに及ばないとも限らない。

人生、金じゃないよ。
などという台詞は金のある人の言う言葉である。
お金は大事だよー、とCMでも言っていた。
何か行動を起こすには、資金がどうしても必要になる。
だがその起こすべき行動が見つからない場合。
はたして我々はどうするのだろう。

上記記事のルーク・ピッタードさんは、かつての職場に戻ることにした。
そこに彼の「居場所」があった、ということだろう。

居場所を持つ人は、幸せだ。

ただし、宝くじに当選する前のルークさんの立場にはもう戻れない。
状況が変わってしまっている。
たとえ残りの当選金を何らかの形ですべて手放してしまったとしても。
彼はもはや一介のハンバーガー店員ではない。
「130万ポンド(2億6000万円)の宝くじが当たったことのある
 ハンバーガー店員」
という事実(と体験)からは、どうあがいても逃れられない。

ルークさんの闘いは、これから始まるのだろう。
ほとんどの人が経験したことのない“苦悩”に苛まれるかもしれない。
しかし彼はそれを選んだ。
選ぶ、という行為そのものが人生だ。

宝くじは、人生を変える。良くも悪くも。
しかしそれは宝くじに限ったことではない。
生きていく上で降りかかってくる、数々の幸運や不運。
それがその人の行く末を決める。
宝くじも、そのきっかけのひとつに過ぎない。

大金そのものよりも、貴重な転機を授かったことが、ルークさんにとっては
最大の成果であるといえるかもしれない。
それは誰もが経験できるわけではない。決して。

私は宝くじを買ったことがほとんどない。
かつて一度だけ、戯れに買ってみたことがある。
その中に当選番号とは下2桁だけ番号が違う(しかもその差は10程度)という
ものがあり、愕然とした記憶がある。
もちろん買った店からは、実際にその当選番号の当たりくじが出ていた。
誇らしげに「当選くじ出ました!」と掲示されているその店の前を通るたびに
何やら忌々しい気分になったものだ。
それ以来、宝くじには一切手を出していない。
どこで何を買っても当たる気がしないのだ。
ある種、トラウマとなっている。

ニアミスでこれだけの精神的動揺をもたらすのであれば。
実際に当たってしまった暁には、どういう反応を示すものなのか。
全くもって想像もつかない。

現状から脱却するきっかけを、誰もが求めている。
宝くじでそれが掴めるというのであれば。
それも素晴らしい話ではないか。

このエピソードで、マクドナルド店員志望の若者が増えたりしたら。
それもまた人生へのきっかけを提供したことになる。

他者の人生に影響を与える、ということが、いかに尊いか。
ルークさんはその点からも「唯一無二」の店員となり得る。

彼の決断と旅立ちを、まずは心から応援したい。


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