春を愛する人は

春画

超有名絵師も描いたムフフな春画の目的ってナニ?R25.jpより)

春真っ盛り。春にサカるのは動物の常、というわけで春画である。

江戸の人々もまた、性への関心は相応に高かったようだが。
性そのものと向き合う姿勢は、現代とは全く違っていたとみえる。
どこかおおらかで、清々しい。
決して忌み嫌われる対象ではなかった。
お守りとか嫁入り道具として流通するものを忌み嫌うはずがない。
性の営みは崇高な行為である、という認識が一般に浸透していたものと思われる。
「子宝」と直結する考えに基づくものではないだろうか。

さらに「笑い絵」という別名(男女がこれを眺めて笑い合う)から察するに、
ある種の娯楽としても用いられてきたことが窺える。現代ならさしずめ
AVでも眺めて、んなわきゃねえじゃん、と笑い合う男女の構図。
“ワ印(わじるし)”という名称はおそらくこの笑い絵の「わ」からきた隠語で
あろうと推察する。

なぜ「わじるし」と呼ぶのか、知らなかった。
その呼び名だけは知っていたが、由来はわからなかった。
昔よく新聞広告に載っていた春画の通信販売では、この語句がデカデカと
掲げられていた。私はその意味は把握できないものの、なんとなく感覚的に、
いやらしいもの、と捉えていた。そういう情報に敏感に反応するのが思春期。
かくして「わじるし」という名称だけが脳裏に残って数十年。
今回思いがけずその謎が氷解した。喜ばしい限りである。

幕府からは度々禁じられてきている春画。
wikipediaの記述にはこうある。

 享保7年(1722年)享保の改革により好色本が禁止される。それでも需要が
 あるためこれより非公開で販売されることとなる。そして、錦絵の開発により、
 多色刷りの春画が寛政のころから本格的に登場しだした。

 江戸幕府の規定を守る必要がない春画は、通常では出版できない極彩色の作品
 が作られた。そのため、浮世絵の最高の技術が使われているものは春画とも
 言われている。


名立たる絵師がこぞって春画を手がけているのも、この点にあるのでは
ないだろうか。
表現の制約がなく、持てる技術のすべてを注ぎ込める分野。

インターネットが一般に普及したのも、エロスの力が大きく貢献したのは
周知の事実。
いにしえのアーティストの面々もまた、最新のテクノロジーを駆使して
自らの内なる表現欲を満足させようとしたのは想像に難くない。
“実用品”であると共に、彼らにとっては芸術作品なのだ。

古来より育まれてきた豊かな性の文化を、我々は暗闇に押し込めてしまった。
その弊害は現在、至る所に見受けられる。
すべてを解禁せよとは言わないが。
笑いながら観賞するという「くだけた」接し方もまた、芸術の在り方としては
大変に意義深いものではないか、と思う。

秘宝は、秘宝館の中だけにとどめるべきではない。

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