見ろシラフのじじい
ミロスラフ・ティッシーの驚くべき世界(TechCrunch Japaneseより)
ミロスラフ・ティッシー(Miroslav Tichý)は1926年チェコ共和国生まれ。
プラハの美術学校で絵画を学んでいたが、共産主義政府と衝突し、学業を捨て
何年もの間(犯罪者でも精神異常者でもないのに)刑務所と精神病院で過ごす事を
余儀なくされたという。
それ以降、慣習的な芸術と人生に対して独自のアプローチを展開していく。
故郷キヨフに戻ると表現方法を絵画から写真に変え、みすぼらしい服を身にまとい
ごみ溜めのような環境で作品を制作・発表し続けている。
驚くべきなのは、彼の使用しているカメラ。
廃棄されたがらくたやゴミ(金属片、ビンのキャップ、ゴム輪、段ボール、
セロハンテープ、アクリル樹脂等)を利用して自作したものだそうだ。
こんなもので本当に写真が撮れるのか、と疑いたくもなるが、実際に彼はこの
カメラで日に100枚ほどの写真を撮影するとのこと。
既成のものに満足しない、彼の強靭な反骨精神が現われているようだ。
このカメラ自体が彼の芸術作品であり、かつ彼そのものを象徴するものでは
ないかと思える。
被写体はほとんどが女性。おそらくそれが彼の最大の関心なのだろう。
モノクロームのそれらの画像はピントがボケていたり、保存状態が良くなくて
劣化していたりもするが、それもまた彼の作風として見事に成立している。
作品そのものをここに載せるのはちょっとはばかられるので、Googleの画像検索で
各自ご閲覧いただきたい。
今日、写真はいつの間にかデジタルが主流となり、途方もない画素数の多さと
驚くほどの高機能性が高らかに謳われている。
誰もが簡単に美しい写真を撮ることができるようになった。
写真機は進化した。では写真は進化したか。
ティッシーはきっとデジカメなどには興味を示さないことだろう。
どれだけ高機能と便利さを力説しても、ふん、と鼻をならして手製の愛機を手に
街へと出かけていくに違いない。
以前にも書いたが、写真撮影は濃密なコミュニケーションである。
彼は自作のカメラで、相手をおとす。
構造のわからない道具を介して充分なコミュニケーションがとれるわけがない。
何よそれ、そんなので本当に撮れるの?
そう思わせることで被写体を無防備にする。油断を誘う。
ごっつい一眼レフなどでは相手を警戒させてしまう。
見た目はぼろぼろだが、その目は的確に「真実」を捉える。
まさに、彼自身。
以前、とあるイベントでチェコから来た人々と仕事を共にしたことがある。
エレクトロニクスと芸術の分野を絡ませた少々難解な内容のものだったが、彼等は
限られた材料と時間を使って、創意工夫に溢れた見事な仕事ぶりを見せてくれた。
チェコってすごい国なんだな、とその時ぼんやり思ったものだ。
創造という行為には、強固な自我が求められると思う。
自分でもコントロールしがたいほどの、エネルギー。
チェコの人々は、それを内包しているのかもしれない。
つらい歴史を重ねてきただけに、人間的に「強い」国民性が育まれてきたのかも。
我々は、ただ驚嘆するしかないのだろうか。
チェコへ行こう! 絵本と雑貨とちいさな街めぐり
すげさわ かよ

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こんなもので本当に写真が撮れるのか、と疑いたくもなるが、実際に彼はこの
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既成のものに満足しない、彼の強靭な反骨精神が現われているようだ。
このカメラ自体が彼の芸術作品であり、かつ彼そのものを象徴するものでは
ないかと思える。
被写体はほとんどが女性。おそらくそれが彼の最大の関心なのだろう。
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彼は自作のカメラで、相手をおとす。
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何よそれ、そんなので本当に撮れるの?
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見た目はぼろぼろだが、その目は的確に「真実」を捉える。
まさに、彼自身。
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限られた材料と時間を使って、創意工夫に溢れた見事な仕事ぶりを見せてくれた。
チェコってすごい国なんだな、とその時ぼんやり思ったものだ。
創造という行為には、強固な自我が求められると思う。
自分でもコントロールしがたいほどの、エネルギー。
チェコの人々は、それを内包しているのかもしれない。
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