【VIDEO】Image Metrics Emily CG

巷で何かと話題になっているエミリーさん。CGである。にわかには信じがたい。
米南カリフォルニア大学のクリエーティブ・テクノロジーズ研究所(Institute for
Creative Technologies
)が開発した実写画面を元にしたCG技術「イメージ・
メトリックス(Image Metrics)」で制作されたCG動画だそうだ。

同チーム最高執行責任者のMike Starkenburg氏によると、見ている相手に目が
本物だと思わせることができれば、本物の人間と間違える可能性が高いとして、
目の部分を特に注意して作成したという。後は顔の筋肉の動きなどに注意し、
表情を作成していったとのこと。

動画ではエミリーさん自身がイメージ・メトリックスとはどんなものか、について
説明してらっしゃる。自分がいかにして生まれたか、を語るわけだ。
どこか人間らしくない点はないか、つぶさに観察しても見つけ出すのは難しい。
素材というか、元になるデータを提供した人物は実在するようだが、まるごと
モーションキャプチャしたわけではないようだ。
この動きをゼロから構築したというのなら、まさに驚異である。

これで音声までもが肉声でなくコンピュータによる完全なる合成で同様のレベルに
まで高めることが実現すれば、もはや動画は「事実」を裏付けするための根拠には
なり得なくなる。それはもの凄い事態ではなかろうか。
大女優にありもしないことをぺらぺらとしゃべらせることもできれば、大統領に
他国との国交断絶と戦闘開始を高らかに宣言させることもできる。
拠り所としてきたものが揺らぐ時、我々はどうするか。あるいはどうなるか。
“動かぬ証拠”は、動く。

先日観たアニメーション映画『スカイ・クロラ』では、空の光景や戦闘シーンなど
では驚く程リアルで美しいCGで描かれていた。一方、人物像の造形はすべて
従来からの「アニメ」表現を踏襲したものだった。
こういった使い分けの手法は現代の作品では一般的であるようだ。
人物を描くのは、難しい。フルCGで表現するにはコストもまだまだかかる。
それはわかるが、私は依然として違和感を抱いている。
アニメ画は、鑑賞者の想像力に依存するものだと思う。
だがその既存のフォーマットの上にあぐらをかいていていいものかどうか。
あぐらをかく程度ならまだしも、櫓を組んで神楽を舞うほどに状況にあまんじて
ラマンになってはいないだろうか。
とはいえ、フルCGで構成された2001年公開の映画『ファイナルファンタジー』は
大変に美しい映像ではあったものの、残念なことに「リアルを追求するがゆえの
アンリアル」が露見する結果になってしまっていた。鑑賞者には、そこを意識
させてはならない。私は観ていてどっと気疲れし、頭が痛くなったほどだ。
画面の隅々にまで「情報」が満ちているために、受け止めきれなくなる。
人間の目(すなわち脳)の処理能力はそこまで高くない。
見るべき部分を見て、必要ない部分はあたかも見ていないかのように意識せず
やり過ごすことができる。そうすることで自分に有益な情報を取捨選択している。
フルCGは、その余地を与えない。

しかし上記のイメージ・メトリックスの技術などに接すると、ひょっとしたら
その「壁」も乗り越えられる時代が近づいているのかもしれない、と思う。
気持ちよく騙されることができる時代が。
そう、映画は騙されるために観に行くものだ。
それが映画の範疇に収まっていれば、の話だが。

騙されることの恐ろしさも、我々は知っている。

革新的な技術は、いつも我々に多くを問いかけ、揺さぶりをかける。
何処までついていけるだろうか。
現代人はつねに試され続けている。


ネタ元:まるで本物の女性のようなCGアニメーション「Emily」GIGAZINEより)
    これがCGってほんとなの?Technobahnより)



顔は口ほどに嘘をつく
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菅 靖彦


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