武道館でスローガン
チープ・トリック『at武道館』AGAIN!
チープ・トリック、同じ場所で同じセットリストを
(BARKS NEWSより)
ビッグ・イン・ジャパンという言葉がある。
日本でしか支持を得ていないバンドやアーティストを揶揄するもの。
チープ・トリックは1974年結成、1977年デビュー。最初は鳴かず飛ばず。
彼らの魅力にいち早く反応したのは極東の小国、日本。
70年代にはこういうケースが多かった。海外の音楽情報が乏しい時代、
雑誌の影響力が絶大であった。イマジネーションが先走りする。
フロントマン二人(ヴォーカル:ロビン・ザンダー、ベース:トム・
ピーターソン)のルックスの良さも功を奏して、アイドル人気に
一気に火がついた。
チープ・トリックも数多ある「ビッグ・イン・ジャパン」のひとつで
終わるかと思いきや。
彼らのキャリアの中で最高の売り上げを記録しているのが『at武道館』(1978)。

400万枚といわれている。当時からすれば驚異的な数字。
しかも名前のとおりライヴである。代表作が、ライヴ盤。
ビートルズのそれを遥かに凌ぐ、観客のものすごい嬌声が
バンドの轟音プレイと互角に張り合っている。阿鼻叫喚。
見事なまでにちゃきちゃきのアイドル扱いなのだが。
その熱狂ぶりが、結果的に海外にも波及効果を与えた。
30年前の作品だが、いまだに売れ続けているらしい。
Budokan、という固有名詞を一般に普及させた功労者。
メンバーは母国でよくこんなふうに声をかけられるそうだ。
「ブドーカンの調子はどうだい?」
知るわけがない。
彼らがそこで演奏したのは、その一回きり。
しかし世間では Cheap Trick = Budokan なのである。
「武道館」の代名詞的存在として認識されているのだ。
それほどまでにこのライヴ盤の印象は強烈であったわけで。
日本武道館で最初にライヴを行ったのはザ・ビートルズだが
チープ・トリックは同じ場所で、伝説をつくりあげてしまった。
1枚のライヴアルバムで。
いわば彼らにとっての「聖地」。
30年の時を経て、彼らは再びそこに立とうとしている。
もう5〜6年前になる。私は神奈川の川崎に住んでいて。
チープ・トリックの来日公演を「追っかけ」た。
といっても2公演続けて観たということだが。
ひとつめは渋谷公会堂(当時)。ふたつめは横浜の
会場名は忘れたが小さなライヴハウス。
2公演それぞれ雰囲気がまったく違っていて、ああ両方
観ておいてよかった、と感じたものだ。
公会堂ではどこかかしこまった様子が窺えたが、ライヴハウス
では彼らの真価が発揮された素晴らしいものだった。
彼らが根っからのライヴバンドであることを確信した。
一時期はレコード契約もなく、インディーズで活動していた。
近年再評価が高まり、彼らからの影響を公言する若手も多い。
苦しい時代を乗り越え、今また光の当たる場所へ戻ろうとしている。
そんな彼らの、原点ともいえるBudokan。
たとえ席が埋まらずとも。耳を聾する嬌声が響かずとも。
彼らは彼らなりのプレイを聴かせてくれることだろう。
安っぽいトリックが、また我々を魅了する。





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リック先生、大忙し。